企業取組紹介
2025.03.31
働きやすい職場環境の整備
従業員の満足度向上で事業提案が増加
ホーコス株式会社

- 住所
- 広島県福山市草戸町3-12-20
- 従業員(構成員)数
- 751人(内、女性 137人・外国人 1人)※2025年3月時点
- 事業内容
- 工作機械、環境改善機器、建築設備機器の製造販売
ここがグリーンなポイント!
- 魅力的な職場づくりで多様な人材を確保
- 働きやすい職場環境で従業員の満足度アップ
- モチベーション向上により事業提案が増加

人材の多様化に対応しながら優秀な人材採用をめざすホーコス株式会社では、魅力的な職場づくりに向けた労働条件や職場環境の整備・改善に取り組んでいます。環境に配慮した新社屋の建設をはじめ、女性の活躍推進や育児休業取得に注力。男女ともに働きやすい職場の環境整備に努めるとともに、業務体制の見直しも実施しました。その結果、男性育児休業取得率は39%から100%へ向上し、出産時には育児休暇取得を検討したいという男性も増加。同社で働くことに対して、7割以上もの従業員から満足度が向上したとの回答を得ました。特に若手社員の積極性が高まっており、新製品などの事業提案の増加につながっています。

本社新社屋 1階ロビー
魅力的な職場づくりで人材を確保
1940年に工作機械製造業として「報國造機」の社名で創業。2025年現在、機械機器具メーカー「ホーコス株式会社」として国内外に複数の工場・拠点を構え、主に工作機械・環境改善機器・建築設備機器の製造販売を行っています。
2020年からのコロナ禍を経て経済活動が正常化する中、各事業における販売が好調に推移。さらなる企業の成長や設備投資、地域貢献活動を円滑に進めるために、優秀な人材の確保が重要だと考えていました。
しかし、今は人を集めることさえ大変な時代です。そこで、性別、国籍(外国人労働者)、年齢(65歳以上の雇用者等)、働き方(限定正社員等)、キャリア(中途・経験者採用)、障がい者など人材の多様化に対応しながら、ワークライフバランスを重視する若手社員の定着促進にも注力。そのためにも働きやすい労働条件・職場環境の整備や、健康経営の推進に取り組み、魅力的な職場づくりを行うことで人材確保につなげようと考えたのです。
また、働きやすい職場環境の整備と同時期に、新しい本社ビルの建設・工場事務所の改修工事も開始しました。
人事部 小寺 浩史(こでら ひろふみ)係長「ちょうど創業80周年の節目での新社屋建設となりました。本社や市内北部に分散していた事務所機能を集約して新たな発想を育むことが、新社屋建設の本来の目的です。魅力的な職場に向けて、働きやすい環境整備を進めていたタイミングでもあったため、新社屋でも働きやすい職場環境を整えることになりました。」

左:人事部 小寺 浩史(こでら ひろふみ)係長/右:人事部 石黒 宏哉(いしぐろ ひろや)次長
満足度の向上と部署間コミュニケーションの活発化により事業提案が増加
魅力的な職場づくりをめざした取組の中で、最も成果を感じているのが新社屋建設による従業員の業務意欲の向上です。新社屋完成後、従業員にアンケートを取ったところ、7割以上もの従業員から同社で働くことへの満足度が向上したとの回答が得られました。この満足度の高さは新しくきれいな新社屋で働けるという理由だけではなかったそうです。
「まっさらの事務所で仕事をするのですから、もちろん気分は高揚しているでしょう。それだけでなく、明らかに業務に対するモチベーションが上がっていると思います。特にそれを感じるのが、若手社員の取組です。以前に比べて新製品や新しい販売提案といった、若手からの事業提案が増えています。これは非常に大きな手応えです」と、人事部 石黒 宏哉(いしぐろ ひろや)次長。
新社屋は、フリーアドレスにし、共有エリアやカフェカウンターを設置したことで、話すことが少なかった他部署の人との対話が増えるなど、社内コミュニケーションの活性化にも良い影響がありました。部署間の状況把握や情報交換が自然とできるようになったことは、とても大きな成果といえます。
ほかにも、RPA(業務自動化技術)による業務効率化や、ペーパーレス化を実現。実は、フリーアドレスを導入した目的の一つは、持ち物の簡略化にあったそうです。席を移動するとなると、どこでも仕事をしやすいように作業の効率化や荷物を最小限にしようと考えます。その結果、自然とデジタル化やペーパーレス化などがスムーズに実現できたのです。
若手社員の積極性の高まりや、部署を超えたコミュニケーションによって生まれた一つの形が、2023年に始まった「ulula(ウルラ)」というアウトドア用品のブランドの設立です。若手を中心とした従業員の活性化は、今後のさらなる業績向上につながると期待が寄せられています。

本社1階に展示されている、アウトドア用品ブランド「ulula」の製品
従業員の意見を積極的に取り入れた新社屋建設
新社屋建設の計画は、従業員への聞き取りを通して社内課題の洗い出しに始まりました。2020年ごろから職場の改善すべき点などについて従業員へヒアリングし、さらには取引先などの声も集めたといいます。地域への貢献も視野に入れ、社内外の協力を得ながら課題解決に向けて取組を進めていったのです。
そして、各部署から選出された従業員を集めてプロジェクトチームを構成。従業員からヒアリングした希望・要望の声に加え、実際に従業員がプロジェクトに参画することで、魅力的な職場づくりを進めていくためです。経営陣が決めた大枠の目標のもと、建築家などの外部専門家等とも話し合いをしながら計画を進めていきました。
スタイリッシュで洗練された都会的な印象の新社屋では、従業員の声が随所に活かされています。一人あたりのデスクが狭くて作業しにくいという声を受け、新社屋のデスクは広いものにしました。また、一部の部署を除いてフリーアドレスを採用。
ほかにも、従業員から要望のあった共有エリアやカフェスペース、ソファーを設置するなど、休憩しやすい環境も整備しました。女性社員から要望のあったパウダールームも設置。椅子の座り心地や、会議室の数など細部にわたり従業員の声が反映されています。さらに、広々とした社内食堂も設置。麺類や栄養バランスが良い日替わりの定食など、温かい食事がリーズナブルに食べられるので、従業員からの満足度は高いそうです。

社員食堂のカウンター・厨房
小寺さん「新社屋ではカーボンニュートラルの推進をめざし、ZEB(消費エネルギー収支ゼロ)オフィスをめざしました。ZEB ready(再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量を削減)という種類の建築物です。当社のミッションは『地球益』。社屋も地球益を表現したものになりました。」

開放感があり、植物が置かれた社員食堂のテラス
制度面では、男女問わず育児休業を取得しやすい環境を整備。育児休業中の代替要員を確保しやすくするため、業務体制の見直しも実施しました。代替要員確保の体制づくりは、有給休暇の取得や病気療養などにも活かされています。
また、女性が働きやすい職場環境であることの認知を高めるため、学校や商工会議所、行政向けに「職場・工場見学」を実施。就職希望者を増やすため、チャレンジ体験(職場体験)やインターンシップの受け入れも推進していきました。女性が活躍する職場のリアルな姿を社外へ発信することで、今後の女性入社数増加へつながることを期待しています。

自然光を取り入れることで明るい室内に
課題解決のカギは“実体験”と“情報”で意識を変える
働きやすい職場づくりを進める中で課題も見つかりました。ひとつは職場環境改善の必要性に気づかない従業員がいたことです。現状に満足していたためか、デジタル化やペーパーレス化、部署間のコミュニケーション活性化などへの必要性を感じていなかったのです。そこで、書類などの保管スペースである保管棚の使用スペースの制限や、部署間での連携が必要な業務の担当に指名するなど、自然と業務改善に意識が向かうような工夫をしたといいます。
また、女性のさらなる活躍推進も課題でした。従業員からのヒアリングを通して、育児休業を分割して取得できるなど制度の詳細が認知されていないことが分かったのです。そこで、個別説明会を実施するなど制度の周知を徹底しました。ほかにも、RPAによる業務効率化や作業手順書を導入して、業務の属人化を防止。育児休業中の従業員に代わって作業がしやすい環境を整備していきました。

新社屋のオフィス内に設置されている共有エリア
男性の育児休暇取得率が上がり、女性採用数も目標値超え
働きやすい職場環境整備によって従業員のモチベーションが上がり、業務に対する積極性が増したというホーコス。ほかにも様々な成果が出ています。例えば女性の採用率が、目標だった19%を超えて21%に到達。
また、男性の育児休業についての意識も変わってきたといいます。育児休業を取りやすくなるよう環境を整備した結果、男性の育児休業取得率が2022年の39%に対し、2023年には100%に向上しました。
小寺さん「2023年は出産数自体が少なかった影響もありますが、多くの男性従業員から『今後、出産したときはぜひ育児休業の取得を検討したい』という声がたくさん届いています。ちなみに2022年以前の育児休業取得率は、ほぼゼロでした。明らかに意識が変化したと感じていますね。男性で育児休業を取る人がいれば、ほかの人も取ってみようという気になり、好循環につながっています。」

新社屋のオフィス内に設置されているカフェカウンター
持続可能な活動と地域連携で他企業とともに福山市の活性化をめざす
同社では、これからも『地球益』の理念のもと、持続可能な企業活動をするという目標を掲げています。従業員が仕事と子育てを両立させることができ、老若男女問わず従業員全員が働きやすい環境を作ることによって、各人の能力を十分に発揮できるようにするため、次の取組を進めていきます。
◯子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備
◯地域における子育て支援等
◯女性の活躍できる雇用環境の整備
小寺さん「また、『グリーンな企業プラットフォーム』を活用し、産業支援機関との連携を強化することで、福山市全体の活性化をめざします。人材確保や技術力向上のための取組を続け、同じ福山地域の企業の方々と一緒に成長していきたいです。」
まずは補助金に関する情報集めから
私たちも補助金は活用させてもらいましたが、そもそも様々な補助金があります。補助金の申請は少し難しい部分があるので、市や県に相談するなどして情報を集めることから始めると良いかもしれません。
※本記事内容は2025年1月取材時の情報です。