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2025.03.31

女性・障がい者・高齢者等の雇用

シニア雇用でめざす生産性向上と多彩な人材が働ける「コンビニ工場」化

山陽パッケージシステム株式会社

高齢者雇用 製造業 50人以上100人未満
住所
広島県福山市神辺町旭丘50(本社工場・営業所)
従業員(構成員)数
95人(内、女性 51人・高齢者 14人)※2025年1月時点
事業内容
包装物流に関する重包装から一般段ボール包装を含む化粧箱、化成品、諸資材の設計開発・製造・販売 など

ここがグリーンなポイント!

  • 60歳以上の従業員の積極採用で18人が活躍し、人手不足を解消
  • 従業員全員の所定外労働時間を年間600時間未満に削減し、休日数の増加を実現
  • シニアと若手の交流により社内のモチベーションが向上



福山市に拠点を置く山陽パッケージシステム株式会社では、包装・物流に関する課題を解決する提案をはじめ、重包装や一般段ボール包装などパッケージ資材の開発・製造・販売を行っています。

近年はシニア雇用を推進し、多様なスキルや経験を活かすことで、新たな発想や改善に繋げる取組を加速させています。

土日も稼働させ、稼働率を上げる取組がシニア雇用をするきっかけに

同社がシニア雇用の体制づくりを強化した大きな背景には、人材不足だけではなく、多世代の知見を掛け合わせて生産性を高めたいという狙いがあります。

シニアの方は土日や祝日勤務に抵抗が少ない場合が多く、稼働率を上げる上で大きな存在となります。

決定的だったのは、加藤製作所の社長のセミナーを代表取締役 小林 大敏(こばやし ひろとし)さんが受講した際の「製造業の稼働率を上げるには、高齢者をうまく活用するのがポイント」という言葉。

セミナー受講や先進事例の学習から、『土日も稼働するコンビニ工場』をめざす方針を打ち出し、2023年から具体的な行動を起こしました。

参考にした、加藤製作所のシニア雇用の取組を紹介した書籍

セミナーで得たヒントから本格化したシニア活用

セミナー受講後、シニア雇用の経緯や社内体制構築について学ぶために岐阜県中津原市にある加藤製作所に役員3人と顧問の社会保険労務士を含むメンバーで企業訪問を行いました。

その後、ハローワークや福山市生涯現役促進地域連携協議会に相談しながら、シニア向けの求人票作成や合同企業説明会への参加を重ねました。

加藤製作所様訪問のときの写真

所定休日が3年前と比べて9日間増加するなどの成果が生まれる

従業員95人の内、18人が60歳以上となり、多様な視点と豊富な経験が組織全体の生産性向上に寄与しています。

2024年には、一人の65歳のパートタイマーが、新設された制度で準社員へ転換し、責任範囲と職域を広げることでキャリアアップをめざします。

正社員の所定休日は3年前と比べて9日間増加。そして非正規労働者には継続的な賃上げを実施し、さらには上記のように準社員制度を新設し、給与体系を正社員に近い月給制にするなど、安心して働ける環境づくりを進めてきました。

さらに、従業員全員の所定外労働時間を目標の年間600時間未満に抑えることで、ワークライフバランスと健康管理を両立する取組も成果を上げています。

安全衛生や企業文化の違いを乗り越える工夫でシニア雇用の課題を解決

年齢を重ねた方には、若年層とは異なる身体的な変化が生じる場合があります。
そのため、安全面への十分な配慮が重要であり、作業環境でも適切な安全対策が求められます。
同社では、シニアの方を雇用する際、以下の取組を実施し、スムーズに進めたそうです。

<安全管理の強化>
産業医参加の上でアドバイスを得つつ、月1回の「安全衛生ピカイチパトロール」を実施。前月のパトロールで見つかった安全・衛生に関する懸念事項の対策確認をしながら現場を巡回し、従業員と課題を出し合って次月のパトロールまでに解決します。
同社では「安全」「整理整頓など5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」「ピカイチ(清掃)」は三位一体であると考えています。「整理整頓(5S)」と「ピカイチ」で効率良く「安全」な職場づくりにつなげています。

軽作業を中心とした業務設計を進め、体力や健康面に配慮することで、シニア世代が安心して働けるように取り組んでいます。

段差のある箇所に虎柄テープを貼ることで危険箇所を見える化。このような取組も大企業での経験が豊富なシニアの方の知恵をもとに行われています。

<企業文化のギャップの解消>
前職との風土や習慣の違いを感じやすいシニア採用では、入社時に同社の文化を丁寧に説明し、逆に良い点は積極的に取り入れる方針を取っています。
困ったときは先輩シニアや役員がフォローに回り、お互いにコミュニケーションをとりながら問題を解決しています。

<ハローワーク・行政・社会保険労務士との連携>
ハローワークでの個別相談や福山市生涯現役促進地域連携協議会主催の合同企業説明会への参加を通じて、シニア向け求人のコツや応募者との接点を増やす工夫を重ねてきました。
顧問の社会保険労務士からは就業規則の見直しなど具体的なサポートを受け、より受け入れやすい環境整備を進めています。

<多世代交流で高まる従業員のモチベーション>
シニアの従業員が増えたことで、同社には様々な年代が共存する活気が生まれています。
例えば餅つき大会では、シニア従業員が主導して伝統的な手順をレクチャーし、若手や技能実習生がそれを学ぶ内に自然なコミュニケーションが生まれました。
餅つき大会に限らず、若手からは『長年の経験に裏付けられたアドバイスが頼もしい』という声が上がり、シニア世代も『若い人との交流が新鮮で仕事への意欲が湧く』と語っています。

このように多世代が支え合う風土が定着しつつあることが、同社のモチベーションアップに大きく貢献しています。

社内で行った餅つき大会

時差出勤と準社員制度でめざすコンビニ工場

常務取締役 小林 昌代(こばやし まさよ)さん「生産管理において時間的制約の少ない高齢者の特徴を活かし、今後は時差出勤制度などを導入することで機械の稼働時間を延ばす一方、現役世代の時間外労働削減につなげて生産性を向上させたい。」

また、多彩な人材がいきいきと活躍できる職場をつくり、新たな価値観を取り入れた商品開発や新たなサービスの提供につなげたいとの考えを示しています。

さらに、稼働時間を伸ばして「土日も稼働するコンビニ工場」をめざしており、社内制度はフレックス制度などを導入済みで、さらに柔軟な働き方を進めています。

このような取組を通して稼働率を上げ、納期も短期化させてより強い会社をめざします。

常務取締役 小林昌代さん

取り組むにあたり福山市やハローワークとの連携が後押し

シニア向け求人のノウハウを得るために福山公共職業安定所と連携し、福山市生涯現役促進地域連携協議会の合同企業説明会にも参加することで、採用の間口を広げてきました。

顧問の社会保険労務士との伴走支援や産業医による職場巡視など、外部からの専門知識も大いに活用しています。
また、高年齢者活躍企業として知られる加藤製作所様の取組を学ぶことで、具体的な体制作りや安全衛生管理のポイントを取り入れてきました。


※本記事内容は2025年1月取材時の情報です。