企業取組紹介
2025.03.31
働きやすい職場環境の整備
設備の入替えや多能工化でCO2排出量や残業を大幅削減し従業員の満足度が向上
福山ゴム工業株式会社

- 住所
- 広島県福山市松浜町三丁目1番63号(本社工場)
- 従業員(構成員)数
- 169人(内、女性 29人・外国人 6人) ※2025年3月時点
- 事業内容
- ゴム・合成樹脂履物の製造販売、工業用ゴム製品の製造販売(「ユースエール」認定取得企業)
ここがグリーンなポイント!
- エコ視点な取組の積み重ねでCO2排出量約15%と、廃棄物処分量約22%の削減成功
- 制度改善や多能工化などの相乗効果で、残業時間は約32%削減、男性の育児休暇取得率100%も達成
- 残業・休日勤務の時間削減や有給休暇の取得率向上の取組、福利厚生設備の整備、各種研修・セミナーの開催などにより、従業員満足度が71.5%へ向上

福山ゴム工業株式会社では、2008年のISO14001認証を契機に、環境への取組を本格化。2022年ごろからSDGsの目標に準ずる中長期的な改善活動へと拡大し、生産性や従業員の定着率を上げるため、働きやすい職場環境の整備にも取り組んできました。今日までにCO2の排出量・廃棄物処分量の削減や、時間外労働の削減、有給休暇取得率向上など多くの成果を上げています。

福山ゴムではワーキングチームを編成し、改善活動を通じて従業員の育成をめざしています
ISO認証に始まりSDGsに準ずる環境配慮や、職場環境整備の取組へと拡大
1947年創業、ゴム・合成樹脂履物や工業用ゴム製品の製造販売をする同社。長靴・作業靴などの履物や、建設機械・農業機械用ゴムクローラ、新幹線、上水道管部品といった生活の基盤となる足回りなど多岐にわたる製品を製造しています。
2000年代に入り、一部の取引先企業からステークホルダー全体で環境配慮の取組を推進していくとの意向を受けたことがきっかけで、環境に配慮した取組を始めました。
2008年にはISO14001認証を取得。これを契機に、環境配慮の取組を本格化させ、2010年代後半からSDGsに準ずる取組を進めていきました。
2022年度からは環境への取組に加えて、SDGsの世界的目標にある「働きがいも 経済成長も」でも生産性や人材定着率の向上をめざすために、働き方改革など職場環境の整備に関する中長期的な目標を設定し、計画的な改善活動への取組を始めることにしました。
経営企画室の坂井 大造(さかい たいぞう)参与「以前から、人材不足など採用活動の厳しい局面が続いていたことから、生産性アップや人材定着率向上の必要性を感じていました。そこで、労働力を確保し、従業員の満足度向上へつなげるためにもSDGsに倣うかたちで働きやすい環境の整備に力を入れることにしたのです。」

経営企画室 坂井 大造 参与
取組の積み重ねでCO2排出量・廃棄物処分量の削減のほか、時間外労働時間の削減にも成功
同社では、2022年度に新たに掲げた環境配慮と職場環境整備に向けて多くの取組を実践してきたことで、様々な成果がありました。
<環境配慮での取組成果>
2024年度前年比実績で年間のCO2排出量を約15%削減し、2017年度から7年間の合計削減量は1,000トン超。さらに、年間廃棄物処分量も約22%削減を達成しました。
これらの成果を実現させた取組は設備投資だけではありません。エコの視点を持つことと、今すぐにでも実践できるような取組の積み重ねが功を奏したのです。
例えば、CO2削減の目的でフォークリフトをエンジン式から電動式に変更したり、蒸気配管が剥き出しになった部分などを保温材で保護して蒸気の低温化を防いだりなど。また、省エネ効率が高い設備の導入やレイアウトの変更による生産性向上を図り省エネ化を推進しました。
廃棄物処分量の削減については、運搬用木製パレットを樹脂製に変更して長期利用を実現。また、包装材の廃止や低減によるペーパーレス化、ゴムの端材や廃油をリサイクル品として業者回収など、取組の積み重ねで処分量を削減しました。
<働きやすい職場環境の整備での取組成果>
働き方改革など職場環境の整備については、2022年度に新しい目標を設定するよりも以前から取り組んでいたこともあり、残業・休日出勤の時間削減や、有給休暇・育児休暇の取得率向上が長年続いています。
具体的には、2024年度(前年度比)実績として次のような成果を得ました。
◆残業・休日出勤の時間を約32%削減(月一人あたり平均)
◆年次有給休暇の取得率71%⇒77%に向上
◆男性育児休暇の取得率100%を達成
などです。このような成果を得た結果、目標の一つでもある従業員満足度を67.1%⇒71.5%まで引き上げることに成功しました。
なお、SDGs目標に沿ったグリーンな取組を始めるにあたっては、従業員へ職場での現状や満足度に関するアンケート調査から始めたそうです。
そのアンケート結果をもとに職場環境の改善点や課題をあぶり出し、働きやすい職場環境を整備するための具体的な取組内容を明確化していきました。

次世代のリーダー育成をめざし、役職に応じた勉強会など、対象者を絞った育成機会を整備
取組内容について、管理部の森下 聡(もりした さとし)部長は次のように話します。
「まず各セクション(部署)で、職場環境の整備に関する目標を設定し、達成に向けて活動します。例えば『月間残業●時間以内』『月間に有給休暇●日取得』など。そして、毎月の達成結果や分析をセクションごとにまとめます。ISO推進本部と管理部が、進捗管理とともに実績集計を実施。活動内容や集計結果などは社内新聞や社内メールで毎月公表されます。また、3か月ごとに自社ホームページにも掲載されるので、取引先や住民の方々など外部のステークホルダーをはじめ、どなたでも閲覧できます。」

管理部 森下 聡 部長

社内新聞には、環境配慮や職場環境整備の取組の経過などが毎月公表されます
制度の見直しにはじまり、教育整備、DXなど多岐にわたる取組の積み重ねと相乗効果でより良い職場環境へ
アンケートをもとに明確化された取組内容は次の通りです。
<制度の改善・新設>
◆人事評価制度の見直し
実績・能力・行動の3種を軸に評価項目を細分化。評価基準や採点配分は職制・等級・キャリアに応じて変わり、複合観点を評価に反映できる制度に改めました。
◆育児休業取得制度の変更
国からの育児休業給付金である賃金の67%のみの補填⇒会社から賃金の33%を補填し、制度を利用する従業員は賃金100%の補填を受けられるようにしました。
◆新卒入社時に10日間の年次有給休暇を付与
◆「積立有給休暇制度」「ライフプラン休暇制度」の導入
「ライフプラン休暇制度」は、年度開始時に5日の有給休暇取得を計画するもので、『有給休暇は用事の有無に関係なく取得できる』ことを意識付けるために導入。仕事と家庭の両立支援のため、有給休暇取得率の向上に向けた取組を行なっています。

福山ゴムの従業員の方々
<機会の創出>
◆従業員教育の充実
各役職の次期候補となる従業員向けに、役職に応じた勉強会など、対象者を絞った育成機会を整備。次世代のリーダー育成をめざします。
◆若手や女性による改善活動
会社の将来を担う従業員の育成を目的に、若手や女性メンバーによるワーキングチームを編成し、自ら課題を抽出して改善活動を実施します。若者の考えや要望を、会社が聞く機会を持つという狙いもあります。
<多能工化>
◆DXによる省人・省力化
データ取得作業に自動計算できるRPA(事務作業自動化)などのシステムや、現場での作業工程にロボットを導入して工数低減を図ります。作業の軽減・簡略化により、複数の従業員が複数の業務に従事可能な状態となります。さらに、多能工化には、残業時間の平準化や時間外労働の削減、技術の伝承などの効果もあるそうです。
多能工化や業務自動化などで、繁忙期でも目標達成を可能に
SDGsに準ずる取組として活動を始めた2022年以降、建設機械市場が好調となり受注が増加しました。納期対応に追われて業務が繁忙となる中、時間外労働の削減や有給休暇取得率の向上に取り組むことに難しさを感じていたそうです。
そこで、先述した省人・省力化や業務自動化、各種システム導入などによる多能工化・業務改善を積極的に実行。その結果、生産性向上とともに、時間外労働の削減につながりました。そうして、目標達成に向けて取り組む時間が増えたことで、有休・育休取得率向上などの職場環境の整備だけでなく、環境配慮の面でもCO2削減など多くの成果を得ることができたのです。
人にも地球にもやさしい企業をめざし、健康経営を推進していく
同社ではグリーンな企業プラットフォームへの参加を通じ、取組や活動成果を広く発信することで、ブランディング効果を期待しているといいます。また、新たなサプライヤーやベンダーを発掘し、ビジネスの拡大につなげていきたいと意気込んでいます。
坂井さん「当社のビジョンにある『人にも地球にもやさしい企業』をめざし、グリーンな取組を進めてきました。今後も必要なブラッシュアップを続けていくつもりです。」
森下さん「健康経営の方針として『従業員がその個性と能力を十分に発揮し、安心して長く健康に働き続けることができる雇用環境の整備を図る』ともあります。弊社社長の松岡を中心に当社では、健康経営優良法人の認証を受けるなど、従業員が健康で安心して働ける会社をめざしています。今後はブライト500の認証をめざすなど、健康経営を推進していきたいですね。」

「健康経営優良法人認定制度」で新設された中小規模法人の上位501位〜1500位に認定される「ネクストブライト1000」を認証取得(2025年3月10日)
外部との連携や支援を活用して取組を実施
人事評価制度の見直しなどは、労務管理専門のコンサルタントと協力しながら実施しました。また、2025年度には太陽光発電の導入を検討するなど、様々な取組を視野に入れ、国や県など行政からの助成金や外部支援を活用しています。
※本記事内容は2025年3月取材時の情報です。