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2025.03.31

働きやすい職場環境の整備

有給取得率が80%以上にアップ! DXによる誰もが働きやすい職場づくり

有限会社広島金具製作所

若者雇用 働き方改革 製造業 10人以上30人未満
住所
広島県福山市南本庄2丁目12-10
従業員(構成員)数
11人(内、女性 7人・外国人 0人)※2025年1月時点
事業内容
雨どい金具を中心とした建築金具の製造販売(「ユースエール認定取得企業)

ここがグリーンなポイント!

  • 有給休暇制度の改善で取得率80%〜100%に向上
  • 組立検知カメラ導入やマニュアル整備により人的ミスをなくし従来品質を担保
  • デジタルツールの導入でペーパーレス化や社内コミュニケーションが活性化



1961年創業の有限会社広島金具製作所は、雨どい金具を製造する企業として、長年の技術力を活かした製品づくりを行ってきました。

近年、労働力不足や業務の属人化による離職リスクが表面化し、会社として大きな変革が必要だと考えるようになったといいます。

そこで、代表取締役の水ノ上貴史(みずのうえ たかし)さんが中心となり、デジタル技術を活用して業務プロセスや製品、サービス、企業文化などの変革を推進して「働きやすい職場づくり」を進めてきました。

作業手順書を整備して多能工化を進め、有給休暇取得を時間単位で行えるように制度化するなど、社員一人ひとりが安心して働ける環境へと変化を遂げています。

代表取締役 水ノ上 貴史さん

社員を大事にする経営をしたいと思ったことがきっかけ

「社員を大事にすることが会社の成長につながると気づかせてくれたのが、中小企業家同友会の活動でした」と、水ノ上さんは振り返ります。

同友会で交流を重ねる内に、「経営者が上、社員が下」という従来の考え方を改め、社員一人ひとりの成長と働きやすさを優先する経営をめざすようになりました。

2016年ころから社内スケジュールを共有するためにGoogleカレンダーを導入し、DXの第一歩を踏み出すと同時に、ユースエール認定取得に向けた休暇取得の推進や、障がい者雇用など、人を中心に据えた取組を加速させたのです。

スケジュール管理ツールの導入で業務予定を社内全員で共有

ユースエール認定証

有給取得率80%以上に向上し、ミスが少ない作業環境整備を実現

「時間単位で休めるようになったことで、子どもの病気や家族の介護にも対応しやすくなったと社員から声が上がっています」と水ノ上さんは話します。

結果として、有給休暇の取得率は80%〜100%へと大きく向上しました。

また、作業面では組立検知カメラを導入することで、障がいのある社員でもミスなく同一品質で生産できる仕組みを確立。

部品のピッキングミスを認識してアラートが鳴る検知装置。ミス防止のほか、作業員の安全確保にも役立っています

作業の手順書を写真入りで作成したり、女性のキャリア支援のために技術を学べる専門学校への通学を会社が支援したりと、性別や年齢、障がいの有無にかかわらず働きやすさを追求しています。

さらに、カタログなどの印刷物提供を廃止するなどの努力により、紙の使用量は以前の半分以下に削減されました。

環境負荷の低減と業務効率の向上が同時に進んだ点も大きな成果です。

手順書を常に設置し、担当者の急な休みに別の社員で対応できる体制を構築

無料ツール活用と若手が年配者をサポートすることで導入の課題を解決

DX推進には反発もあったといいます。「キーボードも触ったことがないベテラン社員からはITツールの導入に抵抗する声が最初は出ました」と水ノ上さん。

しかし「一緒にやってみましょうと若手が操作説明をする内、少しずつ前向きになってくれました」というように、若手がフォローしながら取り入れたことでスムーズに移行が進み、また、無料ツールから段階的な導入をすることで自社に合う環境がつくれました。

一方でペーパレス化は社外の取引先にも協力を求めなければならず、最初は難航したそうです。

それでも、環境負荷を減らしながら業務効率を上げる意義を丁寧に伝えた結果、取引先との電子書類のやり取りが定着し、請求書などの郵送をゼロにすることに成功しました。

デジタルメディアを通じて社員間のコミュニケーションが密に

相互フォローと思いやりの文化が醸成

社内チャットやSNSのような感覚で書き込めるデジタルツールにより、業務連絡だけでなく「ありがとうございます」のような感謝のメッセージを気軽に交わすようになった」という声もあがっています。

お互いを思いやる言葉が増えたことで「だれかが急に休んでも大丈夫」という安心感が高まり、有給休暇の取得がさらに進む好循環が生まれました。

また、女性のキャリアアップを目的とする技術学校への通学支援によって、女性社員の技術力向上も進み、「自分が休んでも他のスタッフがバックアップできる体制になりました」という声が上がるなど、多能工化による組織力アップが実現しています。

再生可能エネルギーへの切り替えとSDGs推進をめざすことでインナーブランディングとアウターブランディングを進めたい

同社では電力をすべて再生可能エネルギーに切り替え、SDGsの取組をさらに加速したい考えです。
少し割高にはなるものの、そこに社員の意識づけを行うことで、インナーとアウターの両面から会社の価値を高めたいという思いがあります。

継続的な改善で生まれる持続可能な企業文化

これまで取り組んできた働きやすい職場づくりを継続的に進めながら、環境負荷の低減と生産効率のさらなる向上もめざしていくそうです。

グリーンな企業のチャレンジ宣言についても、宣言して終わりではなく、常にPDCAを回していく体制が必要だと、水ノ上さんは強調します。

ペーパーレス化を含むDXだけにとどまらず、有給休暇制度の充実や障がいを持つ社員への作業支援など、制度面においても様々な取組を少しずつ組み合わせることで、大きな成果を得ている広島金具製作所。

経営理念である「価値の創造」に基づく企業活動を行い、地域社会の課題解決や経済的発展の両立を図ることで、持続可能な福山市、社会の実現に貢献していく方針です。

推進にあたり中小企業家同友会の人脈や補助制度を最大限に活用

外部との連携では、中小企業家同友会で得た学びと人脈が大きな後押しとなりました。「同友会で人を大事にする経営を知り、行政補助金も活用しながら実践に移せました」と水ノ上さん。

具体的には小規模事業者持続化補助金を用いて「組立検知カメラ」の導入を行い、誰でも安定した品質で作業できる環境を整備。

さらに、福山市の補助金によってテレワーク環境(アカウント取得やカメラ購入など)を整え、コロナ禍でもコミュニケーションを密に取れるようにしました。
また、クラウド型販売管理システム導入による電子化で、郵便物削減や業務の効率化にも成功。

こうした補助金の活用で経済的な負担を軽減しながら、結果的には社員が育児や介護と仕事を両立しやすい環境を生み出すことにもつながっています。
「企業同士の連携や行政の後押しがさらに強化されると、こうした活動が広がりやすいと思います」と水ノ上さんは期待を込めて語っています。


※本記事内容は2025年1月取材時の情報です。