SDGsプロジェクト
ストーリー
未利用資源を自家配合の発酵飼料として活用し、地域循環型の養鶏を実践するながみねファーム

自然環境に近い環境で飼育しニワトリにストレスを与えない養鶏
ながみねファームは、福山市芦田町にある養鶏場です。約500羽のニワトリを平飼いで飼育しています。飼育しているのは、純国産種の「岡﨑おうはん」という品種。採卵ができるだけでなく、精肉としても出荷でき、しかもどちらもおいしい「卵肉兼用種」です。
ながみねファームでは、鶏を初生雛から育てているのが特徴です。また、鶏舎は広々としており、1坪あたりの飼育数が10羽を超えないようにしています。さらにオス・メスを分けずに育てるなど、自然環境に近い環境で飼育しています。
代表の長嶺 充(ながみね みつる)さんは「自由に過ごせるようにして、ニワトリにストレスを極力与えないようにしています。また、弊社の鶏卵は、すべてが有精卵(自然卵)なのもこだわりです」と話します。
「自然に寄り添った養鶏」を掲げているながみねファームについて、特徴やこだわりなどの話を聞きました。

養鶏部門として県内初の農水省「認定新規就農者」に
代表の長嶺さんは、群馬県の出身。福山市は妻の出身地で、結婚を機に福山へ移り住みました。以前の仕事は農業とはまったく畑違いの業界で、営業職に従事していました。もともと、妻の実家で米や野菜の栽培をしていたことから、作業を手伝うようになります。
「次第に植物を育てるよりも、生き物を育てる方が向いていると思うようになりました。実家で3羽ほどニワトリを飼っていたこともあって、やがて、養鶏を仕事にしたいと考えるようになりました」
一念発起した長嶺さんは、市内の平飼い養鶏場に連絡をし、研修を受けて養鶏について学びました。そして、2023年に農林水産省の「認定新規就農者」として認定を受け、ながみねファームを設立します。同認定は、養鶏部門としては広島県初でした。

廃棄予定の規格外品を引き取り、自家発酵飼料を製造
ながみねファームでは、広々とした自然に近い環境による「自然に寄り添った養鶏」をこだわりとしています。その中でも、特に力を入れているのが飼料だと言います。
長嶺さんは、養鶏場での研修を通じて、飼料の重要さに気づきました。「生き物の身体は、食べ物で形づくられます。安全性が高く安心して食べられるものをつくるには、まずはニワトリが食べるもの、つまり飼料が大切だと考えました」
そこで、飼料にこだわった養鶏をしている県内外の養鶏場を訪れ、自家配合の飼料についても学びます。
「ながみねファームの設立後、まずは近隣の農家の方から、廃棄予定の規格外の農作物を提供していただくところから始まりました。引き取った季節の野菜・果物や米ぬかのほか、米・麦・魚粉など、約10種類を自家配合しています。それをさらに自家発酵させて、飼料をつくっています。農家さんへは弊社から鶏糞を提供し、それを肥料にして作物を育ててもらうという循環ができています。」
次第に長嶺さんは、ほかにも飼料に使える未利用資源が、福山市周辺にあるのではないかと考えるようになりました。
そこで市内の豆腐店に連絡を取り、廃棄予定のおからを引き取ります。おからには植物性タンパク質が豊富にあるので、栄養バランスの良い飼料がつくれる点がメリットです。次に尾道市にあるクラフトビールの醸造所から、大麦の搾り粕(モルト粕)も引き取りました。
「おからもモルト粕も産業廃棄物になるため、廃棄には費用がかかります。弊社が引き取ることで、廃棄費用が削減できますし、弊社は栄養豊富な飼料がつくれるため、双方にメリットがあります」
ほかにも、市内にある惣菜メーカーからまだ食べられる野菜の一部を、ワイン醸造所から果実の搾り粕などを引き取るなど、未利用資源の活用は広がっています。

卵が苦手な人でも食べやすいと評判に
「弊社の鶏卵は白身と黄身の元気さに加えて、雑味と臭みがないのが特徴。卵が苦手な人でも、弊社の卵だと食べられると好評です。おすすめの食べ方は、たまごかけごはん。ぜひ、粒が細かめの塩をかけて食べてみてください。細かめのカツオ節や煎りゴマ、青ノリなども合うので、おすすめです」
ながみねファームの鶏卵は、自社近くに設置した自動販売機で販売しているほか、インターネットでの通信販売もしています。100個以上の注文を受けることもあり、近隣地域に限り配達もしています。日によっては、「ふくふく市」やスーパーマーケットで販売することもあるそうです。
また、市内を中心に、混ぜそば店・カレー店・カフェなどの飲食店や、パン店・ホテルなどにも卸しているほか、飲食店に限り、鶏肉の卸売りもしているそうです。鶏肉は、ほどよい歯ごたえと弾力があり、旨み・甘みがあるのが魅力だそうです。
さらに、自社で出た規格外の鶏卵と自家栽培した米を使って、乳製品不使用の米粉の焼菓子も製造しており、イベントなどで販売しています。

地域に眠る未利用資源をもっと発掘し、地域で循環する農業を
長嶺さんは、今後の展望を次のように語りました。
「福山市周辺には、活用方法があるのに廃棄されている未利用資源がまだまだあると思っています。そういったものを今後も探して、飼料として活用していきたいです。その中には、お金を払って廃棄しているものもあるでしょう。飼料として使うことで、廃棄の際にかかるエネルギーや費用の削減ができ、お互いWIN-WINになれると思います」
長嶺さんの取組は少しずつ知られてきており、最近では「あの企業には、こんな未利用資源があるよ」と紹介されることもあるそうです。
「私は地域で循環する農業を心がけており、地域内でのさまざまなつながりを大切にしています。つながりが広がる中で、『びんご農業女子会』から、ファシリテーター・アドバイザーの依頼をいただきました。このように、SDGsに関する取組をきっかけに、思わぬところで意外な展開が生まれるかもしれませんね」と、長嶺さんは語りました。


- ながみねファーム
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自然養鶏をベースに循環型の農業を営む平飼い養鶏農家。
ヒヨコのうちから抗生物質等を一切使わずに、自然に近い環境で鶏を育ている。
農場として一番にかかげるモットーは、
◎安全性が高く安心して食べられる卵(有精卵)
◎のびのび過ごせる鶏の環境づくりWEBサイト
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