SDGsプロジェクト
ストーリー
資源をつなぐ。地域とはぐくむ。 循環型地域をめざすリサイクル企業の取組


リサイクル事業に加え循環型地域をつくる取組も展開
株式会社 かこ川商店は1974年に福山市神辺町で創業しました。創業時は金属廃棄物のみでしたが、現在ではさまざまな廃棄物に対応した資源回収・リサイクル事業を展開しています。さらに個人向けのお片付けサービス「TASCAL(タスカル)」も開始しました。2015年からは地元のこども向けに、廃材を使ったものづくりワークショップも開催しています。
かこ川商店は本業とともに、「地域事業」にも取り組んでいます。同社は2013年ごろからお米づくりを開始。さらに、地域のふれあい農園にも参画しています。また2024年には、同社工場の道向かいに「地域共創拠点 areal wakka(エリアル ワッカ)」を建設、運営をしています。地域事業について、代表取締役の水主川 嘉範(かこがわ よしのり)さんは次のように語りました。
「弊社のビジョンは『みんなで幸せになる 循環型地域をつくる』。弊社がある片山地区は創業地であり、現在も事業を行っている場所。片山地区を将来も持続可能な地域にしていくのも弊社の使命だと考えています」

リサイクル率97.5%の資源回収・リサイクル事業
写真:地域とつながる資源回収の様子
かこ川商店の資源回収・リサイクル事業は、持ち込まれたもの、または同社が回収したものが作業場に集められ、種類に応じて分別されます。金属や古紙の場合は運搬効率を上げるため、切断したり圧縮したりして所定のサイズに加工。木材の場合は燃料用途のため、細かく切断するといいます。
加工された資源は製紙工場や製鉄所、ボイラー施設などに運搬され、リサイクルできないものは焼却場、または埋立施設へ運搬。かこ川商店の収集した廃棄物のリサイクル率は、約97.5%に上ります。
かこ川商店の資源回収・リサイクル事業は、自社で多様な種類の廃棄物の受け入れを可能にした『ワンストップ』サービスが特徴です。市民や企業がリサイクルしやすい仕組みとなっています。

従業員一丸となった農業で、地元の地域資源である農地を守る
かこ川商店では2013年ごろから、片山地区でお米づくりを行っています。「食料自給率が低下していく中、自分たちの手で食べものを作っていく力が必要だと思った」と水主川さんは話します。
また周辺の農家の方の高齢化により、耕作放棄地が増えてきたことも、お米づくりを始めるきっかけだったといいます。「今まで丹精込めて作物を栽培していた農地を、荒れ地にせずに生かしたいという思いがありました。私たちは、農地も地域資源だと思っています。片山地区で長年事業をさせてもらっている弊社が、農地という地域資源を守るお手伝いができないかと考えました」
水主川さんがお米づくりについて周囲の人に話すと、片山地区で農業技術者として稲作をしている方を紹介されました。そして、農業技術者の方や片山地区農家の方の指導を受けながら、従業員みずからお米づくりを開始。できたお米は従業員をはじめ取引先やお世話になった方に配っているほか、2024年収穫分から「片山米」のブランド名でお米の販売にも挑戦しています。
また同社では畑での野菜栽培にも着手。地元農家とこども・保護者が楽しみながら農業が体験できる「ふれあい農園 片山」を運営しています。世代をこえた交流が生まれ、地域の人々が繋がるきっかけとなっています。

雑談の先に創造がある。集まって話をする交流拠点を整備
かこ川商店は2024年、リサイクル工場の道向かいに「地域共創拠点 areal wakka(エリアル ワッカ)」を建設しました。
かこ川商店には、地元小学校から見学などの依頼が多いそうです。地元から同社へ求められていることと、同社のやりたいことが重なるものとして「人が集まる場所(=arealwakka)」の構想に繋がり、実行に移したと振り返ります。
地域の人が集まる交流の場所としてつくられたこの施設は、ヨガ教室やアート展などのイベント会場を行うほか、毎週木曜日には自分たちで育てたお米や野菜を使ったカレーを提供するカフェも営業しています。
「リサイクル工場見学に訪れた地元の小・中・高校生や大学生が休憩や座学の時間で利用する場所。地元の方が集まってお茶を飲んだりといったコミュニケーションを取る場所。多様な人が関わるということがキーワードです。いろいろな人が集まれば、新たな知恵が生まれるかもしれません」
水主川さんは雑談の先に創造があると話します。「さまざまな人や地域に課題があって、それを解決していくのが事業だと思っています。だから、まず集まる、そして話を聞く。それがとても重要なこと。そのための場所が必要だと思ってつくったのがareal wakkaです」
片山地区は高齢化が進み、農業の後継者も不足している地域です。地域参加する人も減ってきています。そうなると災害などの緊急時の避難にも影響が出る可能性があると水主川さんは話します。「弊社も片山地区の一員として関わっていくことで、地域の発展に協力したいのです」

『地域の困り事を解決する』のが かこ川商店のこれからの事業
同社の主要事業は不用品や廃棄物を処理することですが、水主川さんは視点を変えて「地域の困り事を解決する」事業だと考えているといいます。「その視点で考えると、まだまだ弊社がやるべきことがあるのではないでしょうか」。
さらに水主川さんは、同社のある片山地区の課題の解決も視野に入れ、「弊社も片山地区の一員として関わっていくことで、地区のコミュニティーの維持に協力したいのです」と語ります。
「片山地区には、その名のとおり『片山』という小山があります。二十数年前までは登れたそうなんですが、今は道が荒れて果てて登れません。この山は災害時の避難場所として、防災拠点になると考えています。同時に憩いの場やふれあいの場、観光資源としても活用できるのではないでしょうか」
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