SDGsプロジェクト
ストーリー
SDGsについて学び、実行する福山市立大学「SDGsクラブ」
自らのSDGsの知識を深め、周囲へSDGsへの理解やその重要性を広める
福山市立大学SDGsクラブの大森遥稀さん(左)と山内茉莉亜さん(右)
都市経営学部と教育学部の2学部を擁し、約1,100人の学生が学ぶ福山市立大学。クラブ・サー
クル活動も活発で、たくさんの種類があります。その中のひとつが「SDGsクラブ」です。SDGsクラ
ブでは、持続可能な社会の実現に向けて、さまざまな取り組みを企画・実践しています。そしてク
ラブでの活動を通じて自らがSDGsについての知識を深めるとともに、周囲へSDGsに対する理解
や取り組みの重要性を広めることを目的にしています。
SDGsクラブはもともと「ユネスコクラブ」というユネスコの「戦争は人の心の中で生まれるものであ
るから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という理念をベースに活動を行う社
会貢献クラブでした。しかし、SDGsの考えが社会に広まってきたこと、また、SDGsの理念にユネ
スコの理念が反映されていることから、SDGsクラブへ一新されたのです。2024年3月の取材時点
で、SDGsクラブでは13人のメンバー(引退した4年生を除く)が活動しています。
福山市立大学SDGsクラブの取り組みについて話を聞いたのは、都市経営学部都市経営学科1
年の大森遥稀(おおもりはるき)さんと、教育学部児童教育学科教育コース1年の山内茉莉亜
(やまうちまりあ)さんです。「ひと言でSDGsといっても、その範囲はとても広いです。福山市立大
学SDGs クラブでは、おもに食品ロスの問題やゴミ問題に注目し、取り組んでいます」と大森さ
ん。また山内さんは「SDGsクラブの代表的な活動には廃棄食品の学生への配布、地元高校生へ
のSDGs講習、不用品を回収し海外へ送付するお手伝い、そして鞆の浦の海岸清掃などがありま
す」と話します。
SDGsクラブへの入部を決めた理由について、大森さんは「社会全般で、SDGsに対する理解が
広まっています。私自身ももっとSDGsに関する見識を深めたく、SDGsクラブへの入部を決めまし
た」。いっぽう、山内さんは「もともとボランティア活動など、人や社会への貢献活動に関心があり
ました。福山市立大学にもSDGsクラブというクラブ活動があるのを知り、入部しました」と話しまし
た。
企業と連携し食品ロスの商品を学生に配布
フードバンク福山から提供された食品の一部(提供:福山市立大学SDGsクラブ)
SDGsクラブの活動のひとつが、特定非営利活動法人フードバンク福山(以下「フードバンク福
山」) と連携して進めている取り組みです。フードバンク福山は、消費期限がまだ残っているもの
の、さまざまな理由により廃棄されてしまう食品を企業等より寄贈してもらい、必要としている人・
施設などに無償で提供しています。
「フードバンク福山様より、集めた食品の一部をSDGsクラブへ提供していただきます。いただい
た食品を、大学内で学生・教職員へ”食べるボランティア活動”として無償配布する活動です。事前
に学内の掲示板や、SDGsクラブのInstagramで告知して行います」と大森さん。また山内さんは
「配布する食品は、缶詰やごはん・お粥・カレーなどのレトルト食品、調味料、菓子などが多いで
す。食品を受け取った方からは、食費の節約になりとても助かるという感謝の声を多数いただき
ました」と話します。
食品配布の様子(提供:福山市立大学SDGsクラブ)
「2023年度は4回、食品配布を実施しました。来年度以降も、年数回実施していきたいです」と大
森さんは意気込みを語ります。もともとこの活動は、大森さん・山内さんの先輩の時代に、食品ロ
ス問題に対して自分たちで何かできることがないかと考えたことがきっかけでした。そして大学の
先生にフードバンク福山を紹介され、捨てられるはずの食料がたくさんあることを知り、食品配布
の活動が始まったのです。
2023年度に実施した食品配布では、広島県が実施した新型コロナウイルス感染症の自宅療養者
へ配布予定だった食品が多くありました。これは新型コロナウイルス感染症が5類に移行したこと
で、消費期限が残っているものの不要となってしまった食品を配布したものです。
地元高校生にSDGsの講習を実施
SDGsクラブでは、福山市内の高校生に対しSDGsについて知るための講習会も実施していま
す。学務課より高校生が大学を訪れるときに講習会の依頼があり、実施するそうです。またSDGs
クラブが高校へ出向いて講習会をすることもあります。
講習の内容は、SDGsクラブが普段取り組んでいる食品問題やゴミ問題などが中心です。山内さ
ん「SDGsに関することは難しく感じがちです。少しでもわかりやすく、興味をもちやすくなるよう
に、クイズ形式にするといった工夫をしています。たとえば『日本の食料廃棄量は、現在どれくらい
でしょう?』といった問題などです。クイズは部員みんなで考えています」。
また大変なことについて、大森さんは「講習の依頼から講習日まで時間があまり取れないことが
多く、準備期間が限られるところ。授業が空いている部員で交代しながら協力して準備を進めています。でもいろいろ話しながら進めることで、自分たちも学び直しながら楽しく準備ができているの
ではないでしょうか」と話します。
不用品を回収し海外に送付する「GIFT for SMILE」
不用品回収の様子(提供:福山市立大学SDGsクラブ)
「GIFT for SMILE(ギフト・フォー・スマイル)」は、不用品を回収して発展途上国に送って使っても
らうという寄付活動です。大阪府にあるサンワールド株式会社(以下「サンワールド」)という企業
が行っています。
「SDGsクラブでは年に数回、学内で学生・教職員から不用品を回収しています。これを大阪のサ
ンワールドさんへ送付し、サンワールドさんによって海外へ寄付される仕組みです」と大森さん。山
内さんによれば「大学内にあるカンボジア支援をする『liaison(リエゾン)』という団体があり、
liaisonさんの方から一緒に取り組みましょうとお声がけいただいたのが、この取り組みが始まった
きっかけです。福山市立大学のGIFT for SMILEの取り組みは、liaisonとSDGsクラブが連携して
行っています」とのこと。
回収する不用品は、基本的に食品を除くあらゆるものが対象。文房具や衣料・スポーツ用品・玩
具などが多いそうです。「最初は周知が不十分で、あまり物が集まりませんでした。学務課にお願
いして学内メールで呼びかけたり、掲示板で知らせたりし、回を重ねるごとに不用品を持ってくる
方が増えました」と大森さんは振り返ります。
山内さんは「教職員の方の協力も大きいですね。学内にある生協の方は、売れ残りの文房具など
をたくさん持ち込んでいただきました。全体で一番多かったのは、衣料品ですね」と話します。
今後は新たな活動への着手と学内での認知度向上を
SDGsクラブでは夏休みなどの長期休暇の期間、部員がそれぞれ課題を決め、それについて自
主的に学んで知識を深めることもしています。「調べて学んだことは、Wordなどのデータファイル
にまとめ、クラブ内で共有しています」と大森さん。
大森さんは今後やってみたい取り組みについて「今までは先輩たちが行ってきた活動を、私たちも
やってきました。できれば来年度以降、私たちの代で新しい活動を企画し、実施していきたいと考
えています。たとえば、こども食堂などですね」と話します。また山内さんは「このSDGsクラブに入
部していなければ、社会貢献活動はやっていなかったかもしれません。実際に活動に参加してみ
て、社会の役に立っている実感があり、充実しています」。
続けて「私は教育学部なので、将来は教育関係の仕事に就きたいと思っています。SDGsクラブでの経験を生かし、教え子たちにSDGsについて教えたり、実際に活動をしてみたりして、SDGsへの理解を広めたいと思います」と山内さんは話します。
SDGsの取り組みについて「まずは、身近なところからやっていくことが大切です。ゴミのポイ捨て
は当然ですが、道端などのゴミ拾いをしてみたり、食べ残しをしないようにしたり、買い物のときに
必要以上のものは買わないようにするなど、できることはたくさんあると思います」と、大森さん。
山内さん「少しずつですが、私たち福山市立大学のSDGsクラブの活動について、大学外の方々
に知ってもらえるようになってきました。いっぽう、大学内でのSDGsクラブの認知度が低いと感じ
ています。大学内での認知度をいかに高めていくかという点は、今後の課題ですね。みんなでどう
したらいいか、いろいろと考えているところです」。
「企業や団体といった地域の方々と繋がりをもてるのは、SDGsクラブでの活動の大きなメリットだ
と思います。このような貴重な経験ができるのは、SDGsクラブならではだと思います。また企業も
SDGsへの取り組みに、力を入れているところが多いです。だからSDGsクラブでの経験は、就職
で役に立つのではないでしょうか。自主性も磨かれると思います。新入生の方、在校生の方、将
来福山市立大学へ入学される方、SDGsクラブで活動をしてみませんか。ともにSDGsについて
学び、広めていきましょう!」と、大森さん・山内さんはメッセージを送りました。
- 福山市立大学「SDGsクラブ」
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